2017.06.01 金剛力士
「金剛力士」

 「こんごうりきし」と読みます。仏教の守護神であり、一般的には「仁王(におう)」の名前で親しまれていますよね。口を開いた「阿形(あぎょう)像」と口を結んだ「吽形(うんぎょう)像」の二体を一対としてお寺の表門などに安置されていて、腰に衣をまいただけの半裸の姿で、筋骨隆々とした肉体を見せてくれていますね。「金剛」とは、「最も硬いもの」を意味し、「金剛石」といえばダイヤモンドを指します。「力士」は「力の強い男」を意味し、相撲取りのことでもありますよね。ですから、「金剛力士」を英語で表現するとどうなると思いますか?ダイヤモンドスモーレスラー(笑)。いえいえ、英語でも「コンゴーリキシ」「ニオー」で表記されています。
 最も有名な「金剛力士」といえば、奈良の東大寺にある仁王像ですよね。作者の運慶の名前も有名です。皆さんは、夏目漱石の短編『夢十夜』をご存知でしょうか?そこに運慶が登場するエピソードがあるのです。運慶は平安末~鎌倉初期に活躍した仏師(=仏像をつくる職人)ですが、それが明治の世に、しかも東京の護国寺で仁王を彫っているという不思議な話です。護国寺は文京区にあるお寺です。夏目漱石が現在の文京区に住んでいたのですよ、実は。話の中で、運慶の仕事ぶりを見学する輪の中に漱石はいます。運慶の見事な仕事ぶりを評して、ある野次馬が呟(つぶや)くのです。「あれは木の中にあらかじめ仏像が埋まっていて、それをほじくり出しているだけだ」と。それを聞いて、漱石も家に帰って、鑿(のみ)をふるい仏像を彫り出してみようとするのですが、一向に仏像は出てこない…。
 皆さんも感じたことはありませんか?名ピアニストが演奏するコンサートで、「音楽はあらかじめ楽器の中に仕込まれているのではないか?」と。素人はいとも簡単にできるのではないか?と勘違いするのですが、そこには気の遠くなるような反復練習という過程が潜んでいるのです。けれども、たとえそうだとしても、少なくとも最初から「そんなことは無理だ」と思い込んでしまっては、できるものもできないというのもまた事実ではないでしょうか。「恐れを知らない」ことこそ、物事を始める際のアドバンテージなのです!さあ、皆さんも、勇猛果敢にチャレンジです!とりあえず仏像を彫り出してみよう!と思うことが大切なのですよ。
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