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2019.02.20 現状維持
 「現状維持」

 テレビのバラエティー番組の中で、司会者が出演者に対して「今年の目標を掲げてください」と新年の抱負をたずねるシーンがありました。出演者の一人である「かつて一世を風靡したお笑い芸人」が、高らかに宣言したのがこの四字熟語、「現状維持」でした。「新しい年を迎えるにあたり、これからやるぞ!というタイミングで、なんて後ろ向きな抱負なんだ…」という、あきれた空気がスタジオ内を覆ったのは言うまでもありませんが、この言葉を聞いた私は「なかなかに含蓄のある、オトナのセリフだな」と、思った次第です。
 浮き沈みの激しい芸能界で、一度でも「売れっ子」になった経験を持つ芸人が、「現状維持=(なんとかこのままでいること)」を望むことは、極めて真っ当であると言えるでしょう。つまり「売れ続けること」を目指しているワケですから。決して後ろ向きな発想ではないのです。「一発ギャグ」で売れたとしても、次が続かなければ消えていってしまう。現状を維持するためには、どれほどの苦労がそこにあるというのか。もちろんわれわれにはうかがい知ることもできませんが、想像するだに、過酷な日々の積み重ねがあるように思われます。
 ひるがえって、日々学習を積み重ねている子どもたちのことを考えてみたいと思います。ぜひ「新学年を迎えた抱負」として、この「現状維持」という四字熟語を、堂々と宣言できるようになってほしいのです!お分かりですよね。「成績を上げたい!」というのは前向きな抱負ではあるのですが、それは「低迷し続ける成績」という現状があるからです。それに対して「現状維持」と表明できるということは、すでに満足のできる成績を手に入れている、ということなのですから。そしてこのセリフを口にすることができるのは、「満足のいく成績を維持するためには、いかなる努力も惜しまない!」という覚悟でもって日々の学習にあたっている者だけなのですから。決して「そこそこの成績で満足していますから、このまま、そこそこ頑張っていきます」という中途半端な態度であってはなりません。
 「私の新学年での目標は、あくまでも現状維持です。」なんて、カッコイイと思いませんか?え、イヤミが過ぎるって?