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 「超スマート社会」

 「Society(ソサエティ)5.0」という言葉を最近よく耳にすることがありませんか?「なんとなく、新しい時代がやってくる」といったニュアンスで受けとめているのではないでしょうか。では、わざわざ小数点をつけて表されている「5.0」とはなんでしょうか?ソフトウェアの更新などに使われる言葉に「バージョンアップ」(機能やサービス内容の更新)がありますが、その更新される範囲や規模などの違いによって呼び方が異なることがあります。ソフトウェア全体を大きく更新するのが「メジャーバージョンアップ」。その場合には「Ver.1.0」から「Ver.2.0」へと変更されます。そして部分的な修正による更新を行うのが「マイナーバージョンアップ」。その場合には「Ver.1.0」から「Ver.1.1」へと、小数点以下だけを変えて表現されることが多いのです。
 ですから「Society5.0」というのは「大きく更新された5番目の社会」ということになります。それはどういう意味でしょうか?人類がこれまで歩んできた「社会」を、順に「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」ととらえます。現在は「情報社会」という4番目の社会「Society4.0」にあたります。そして、これに次ぐ第5の新たな社会の姿が「Society5.0」と呼ばれるイメージになるのです。日本政府による定義では「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」となります。「ちょっとなに言ってるのか分からない!」というツッコミが入ってもいいのではないでしょうか(笑)。これまでの社会を表す言葉のように「狩猟」「農耕」「工業」「情報」と熟語を使って表現できれば定着していくのでしょうが、まだ「○○社会」のように「Society5.0」を表現することはできないでいます。熟語ではありませんが「超スマート社会」というのがその内容になります。ここで「頭の体操」です!「超スマート」という意味を表す熟語を考えてみるのです。様々な漢字を組み合わせて、ぴったりの表現を探してみましょう。「電脳社会」なんていうSF的な表現も、当たり前になるのかもしれませんよ。ちなみに中国語では「電脳」といえばコンピューターのことですので、違和感はあまりないのかもしれません。
 これまでの情報社会では、あふれる情報の中から自分達に必要な情報を見つけて分析、判断する作業が必要でした。これからの超スマート社会では通信技術の発達と膨大なデータを蓄積して処理する技術によって、全ての人とモノがつながり、様々な知識と情報が共有され新たな価値が生み出される時代になるというのです。今でも、われわれはインターネットを通じてあらゆる情報にアクセスしているように思います。でもそれが情報社会の限界なのです。現実空間にいる私たちからサイバー空間にある情報にアクセスをしているという状況、この状況自体が更新されるのです。超スマート社会では、サイバー空間にIoTを通じて蓄積されたデータがAIを利用して分析され、逆に、現実空間へ新たな価値として提供されてくるということになるわけです。こうした、現実空間とサイバー空間の間でデータが循環する社会を、「データ駆動型社会」とも表現します。
 「Society5.0」において経験する変化は、これまでの延長線上にない劇的なものになります。ではそうした新しい令和の時代を生きる子どもたちにとって、必要な教育とはどのようなものになるのでしょうか?インターネットを使った調べ学習、というのがこれまでの情報社会でのスタイルでしたが、これにとどまらず、学習のあり方そのものが大きく変わっていくでしょう。超スマート社会では、教育用 AI が発達し普及していくことにより、AI が生徒個人のスタディ・ログ(学習履歴)や健康状況等の情報を把握・分析し、一人ひとりに対応した学習計画や学習コンテンツを提示することが可能になるというのです。「いつでも、どこでも、簡単に」最適化された情報がやりとりされるようになれば、学習機会の考え方自体が変化します。生徒全員が同じ授業を同じ教室で受けるということの必然性がなくなっていくのかもしれません。けれども、人と機械が複雑かつ高度に関係し合う社会となっていく中で、あえてAI によっては代替できない「人間ならではの営みとは何であるのか」を問い直すことは、どうしても必要になると思います。その答えを、一人ひとりが自分のこととして受けとめて、考えなければならない社会が到来するともいえますね