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2021.10.25
日本一長い名前の条例
大分県宇佐市「日本一長い名前の条例」
今回取り上げるのは大分県の宇佐市で制定された条例です。宇佐市は大分県の北部、国東半島のつけ根に位置しています。読み方に注意の「くにさき」半島ですよ。なんとなくコアラに似た形をした大分県ですが、大きな耳(国東半島)のつけ根の部分にあたるのが宇佐市になりますので、地図帳で確認しておきましょう。大分県といえば世界的にも有名になった政策があります。「一村一品運動」です。シイタケ、カボス、ハウスミカン、豊後牛、関あじ、関さば、大分麦焼酎など、日本のみならず世界に通用するブランドを大分県内に数多く生み出しました。提唱したのは前知事の平松守彦さんです。残念ながら2016年に92歳でお亡くなりになりましたが、「地方から日本を変える」を口癖に1979年から6期24年にわたり「大分の顔」として活躍されました。1995年にはアジアのノーベル賞と呼ばれる「ラモン・マグサイサイ賞」政府サービス部門を受賞されています。一村一品運動を通じて地域が自助努力で経済発展をとげるよう啓発する手法は、広くアジア諸国でも導入され実績をあげたのでした。一村一品運動が掲げる「ローカルにしてグローバル」という標語は、文字通り世界で通用したわけですね。
平松知事は著書『地方からの発想』の中で次のようにおっしゃっていました。「大分県を活性化する一つの道として、それぞれの地域が地域の誇りとなる産品―農産品でもよければ観光でも民謡でもよい―それぞれの地域の顔となるものをつくりあげていこうという運動を提唱することを考えた」と。では、そもそもなぜ「活性化」をしなくてはならなかったのでしょうか?社会の学習をする皆さんには、常に世の中の「なぜ?」を考える習慣を身につけてほしいと思います。
1970年代、大分県は全国一の過疎県だという状況にありました。当時の過疎地域振興特別措置法に基づいた大分県の過疎市町村は、58団体中の44団体にも及んでいたのです。高度経済成長期の急速な工業化にともない、農村から都会へ、特に太平洋ベルトへの人口移動がおこりました。過疎化の進行です。工業基盤を持たない地域が、労働力のいわば供給地となってしまったのです。そこで平松知事は大分県下58市町村(当時)に対して、それぞれが自分達の顔となる産品を開発することを促したのです。地域の産業を興して就業の場をつくり、人口の流出を食いとめることをねらったのでした。地方創生がとなえられる現在でも参考にされることの多い政策として、一村一品運動は覚えておきましょう。
宇佐市にも一村一品運動で力が注がれた産品があります。「下町のナポレオン」というキャッチコピーで有名な麦焼酎もその一つです。制定された条例にも「宴会等では宇佐の地酒で乾杯すること」と明記されていますからね。それではいよいよ「日本一長い名前」というふれこみの条例を紹介しましょうか!正式名称は次の通り「千年ロマンへと想(おも)いをはせ、海の幸、山の幸、自然豊かな宇佐のチカラの恵みを未来へと紡ぎ広める条例」になります。実に47字です。平成29年1月に施行されました。郷土である宇佐の歴史や文化に誇りを持ち、農林水産物の地産地消を進めて後世に受け継いでいくのが目的の条例になります。具体的には、先ほどの宇佐産のお酒で乾杯することのほか、お中元やお歳暮といったプレゼントには地場産品を利用することなど、市民に呼びかけていくことを市の役割として定めました。そこで宇佐市は条例の名前の長さをPRする垂れ幕や缶バッジを作って積極的にアピールをおこなったのでした。ところが「ちょっと待って、日本一ではない!」との声が上がり、市は困惑してしまったというのです。
宇佐市には「この条例の長さをこえれば日本一である」と、ターゲットにしていた条例がありました。通称「りんごまるかじり条例」と呼ばれている青森県板柳町の「りんごの生産における安全性の確保と生産者情報の管理によるりんごの普及促進を図る条例」(41字)です。けれども「そもそも宇佐市にだってもっと長い条例が存在するじゃないか!」と指摘されてしまったのです。その条例の名は「宇佐市指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準等に関する条例」(79字)です。確かに長い!それなのになぜ、47字で「日本一長い」というアピールが可能だと思ったのでしょう?宇佐市の市議会議長がこれに答えています。「法律に基づくものを除いた議員提案のご当地条例としては日本一だ」と。これはどういう意味でしょうか?
議案には首長が提出するものと議員が提出する(議員によって構成される委員会が提出するものも含む)ものがあります。実はほとんどの条例が首長の提案によるものなのです。79字の「介護予防サービスに関する条例」も市長による提案です。しかも同趣旨の条例ならほとんど同じ文言で日本全国どこの自治体にも存在します。それは介護保険法に基づいた規定だからです。先ほどの議長の発言はこのことを指しているのですね。地方自治法の第112条には「普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる」と定められているのですが、実際には議員個人の力量で条例提案をするというのは難しいことなのです。「千年ロマン」ではじまる長い名前の条例も、宇佐市議会においては初めてとなる議員提案条例だったのでした。
地方自治体では、首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶ二元代表制をとっています。首長と議会は、それぞれが住民を代表しているわけですから、条例提案においてもある種の緊張関係を保つことが本来のあり方でしょう。議会の積極性が問われている、ということもできますね。
今回取り上げるのは大分県の宇佐市で制定された条例です。宇佐市は大分県の北部、国東半島のつけ根に位置しています。読み方に注意の「くにさき」半島ですよ。なんとなくコアラに似た形をした大分県ですが、大きな耳(国東半島)のつけ根の部分にあたるのが宇佐市になりますので、地図帳で確認しておきましょう。大分県といえば世界的にも有名になった政策があります。「一村一品運動」です。シイタケ、カボス、ハウスミカン、豊後牛、関あじ、関さば、大分麦焼酎など、日本のみならず世界に通用するブランドを大分県内に数多く生み出しました。提唱したのは前知事の平松守彦さんです。残念ながら2016年に92歳でお亡くなりになりましたが、「地方から日本を変える」を口癖に1979年から6期24年にわたり「大分の顔」として活躍されました。1995年にはアジアのノーベル賞と呼ばれる「ラモン・マグサイサイ賞」政府サービス部門を受賞されています。一村一品運動を通じて地域が自助努力で経済発展をとげるよう啓発する手法は、広くアジア諸国でも導入され実績をあげたのでした。一村一品運動が掲げる「ローカルにしてグローバル」という標語は、文字通り世界で通用したわけですね。
平松知事は著書『地方からの発想』の中で次のようにおっしゃっていました。「大分県を活性化する一つの道として、それぞれの地域が地域の誇りとなる産品―農産品でもよければ観光でも民謡でもよい―それぞれの地域の顔となるものをつくりあげていこうという運動を提唱することを考えた」と。では、そもそもなぜ「活性化」をしなくてはならなかったのでしょうか?社会の学習をする皆さんには、常に世の中の「なぜ?」を考える習慣を身につけてほしいと思います。
1970年代、大分県は全国一の過疎県だという状況にありました。当時の過疎地域振興特別措置法に基づいた大分県の過疎市町村は、58団体中の44団体にも及んでいたのです。高度経済成長期の急速な工業化にともない、農村から都会へ、特に太平洋ベルトへの人口移動がおこりました。過疎化の進行です。工業基盤を持たない地域が、労働力のいわば供給地となってしまったのです。そこで平松知事は大分県下58市町村(当時)に対して、それぞれが自分達の顔となる産品を開発することを促したのです。地域の産業を興して就業の場をつくり、人口の流出を食いとめることをねらったのでした。地方創生がとなえられる現在でも参考にされることの多い政策として、一村一品運動は覚えておきましょう。
宇佐市にも一村一品運動で力が注がれた産品があります。「下町のナポレオン」というキャッチコピーで有名な麦焼酎もその一つです。制定された条例にも「宴会等では宇佐の地酒で乾杯すること」と明記されていますからね。それではいよいよ「日本一長い名前」というふれこみの条例を紹介しましょうか!正式名称は次の通り「千年ロマンへと想(おも)いをはせ、海の幸、山の幸、自然豊かな宇佐のチカラの恵みを未来へと紡ぎ広める条例」になります。実に47字です。平成29年1月に施行されました。郷土である宇佐の歴史や文化に誇りを持ち、農林水産物の地産地消を進めて後世に受け継いでいくのが目的の条例になります。具体的には、先ほどの宇佐産のお酒で乾杯することのほか、お中元やお歳暮といったプレゼントには地場産品を利用することなど、市民に呼びかけていくことを市の役割として定めました。そこで宇佐市は条例の名前の長さをPRする垂れ幕や缶バッジを作って積極的にアピールをおこなったのでした。ところが「ちょっと待って、日本一ではない!」との声が上がり、市は困惑してしまったというのです。
宇佐市には「この条例の長さをこえれば日本一である」と、ターゲットにしていた条例がありました。通称「りんごまるかじり条例」と呼ばれている青森県板柳町の「りんごの生産における安全性の確保と生産者情報の管理によるりんごの普及促進を図る条例」(41字)です。けれども「そもそも宇佐市にだってもっと長い条例が存在するじゃないか!」と指摘されてしまったのです。その条例の名は「宇佐市指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準等に関する条例」(79字)です。確かに長い!それなのになぜ、47字で「日本一長い」というアピールが可能だと思ったのでしょう?宇佐市の市議会議長がこれに答えています。「法律に基づくものを除いた議員提案のご当地条例としては日本一だ」と。これはどういう意味でしょうか?
議案には首長が提出するものと議員が提出する(議員によって構成される委員会が提出するものも含む)ものがあります。実はほとんどの条例が首長の提案によるものなのです。79字の「介護予防サービスに関する条例」も市長による提案です。しかも同趣旨の条例ならほとんど同じ文言で日本全国どこの自治体にも存在します。それは介護保険法に基づいた規定だからです。先ほどの議長の発言はこのことを指しているのですね。地方自治法の第112条には「普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる」と定められているのですが、実際には議員個人の力量で条例提案をするというのは難しいことなのです。「千年ロマン」ではじまる長い名前の条例も、宇佐市議会においては初めてとなる議員提案条例だったのでした。
地方自治体では、首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶ二元代表制をとっています。首長と議会は、それぞれが住民を代表しているわけですから、条例提案においてもある種の緊張関係を保つことが本来のあり方でしょう。議会の積極性が問われている、ということもできますね。
2021.10.25
リアクション
「リアクション」
今年の夏は東京でパラリンピック競技大会が開催されましたね。記憶に残る熱戦が繰りひろげられました。個性や能力を自分たちらしく発揮する選手たちの活躍に目を奪われましたよね。今回のパラリンピック競技大会を契機に、われわれ一人ひとりが多様性への理解を深めていくことにつながっていったと思います。「誰もが生きやすい社会を目指して」というのが、大会が掲げた目標です。社会の様々な分野において、ダイバーシティ(多種多様性)とインクルージョン(包括・一体性)を推進していくことが求められています。多様な個性のある人々が、自分らしさを発揮しつつ、違いを認め合い、そしてその違いを活かしながら協力することの必要性を、多くの人々に認識してもらうこと。この大会の意義は十分に果たされたと思います。
さて私は、パラリンピックの三つの競技で、メダル授与式のプレゼンターを務めさせて頂きました。金・銀・銅のメダルをのせたトレーを、選手の方々のもとに運ぶ任務ですね。組織委員会から「運営貢献者」ということでご指名があったのです。ブリーフィング(事前の説明)では「メダリストにはコングラッチュレーションと、一言お願いします」と連絡があったのですが、メダリストの皆さんが全員「英語圏」出身の選手というわけではありませんよね。せっかくですから、英語だけではなくフランス語・中国語・ロシア語での「おめでとうございます」を確認しておきました。ドイツ語やスペイン語を準備しなかったのは、担当する競技のファイナリスト(決勝戦進出者)にはいらっしゃらなかったからです。ちなみにフランス語では「フェリシタシオン」、中国語では「ゴンシー、ゴンシー」、ロシア語では「パズドラヴリャーユ」になります。でも「カナ表記」を覚えたとしても、「発音」が正しくなければ相手に伝わりませんよね。そこでインターネットの動画を見て、ネイティブスピーカー(その言語を母国語として話す人)の発音を繰り返し耳にしておきました。なんと便利な世の中になったものだと、感心しながらです。デジタルネイティブ世代(生まれたときからインターネットが身近にある世代)である方々にとっては「当たり前」なのかもしれませんが、私が外国語を勉強しようとした何十年前には「夢」でしかありませんでしたよ、本当に。こうしてインターネットの恩恵にあずかった結果、フランスの選手からは「メルシー(フランス語でありがとう)」と、中国の選手からは「シエ、シエ(中国語でありがとう)」と笑顔で返事が戻ってきましたよ!私が事前の準備をしようと思ったのは、このリアクションをイメージしていたからなのです。
「リアクション」は英語の「reaction」が由来の言葉ですが、日常会話でもよく耳にするようになり日本語として通用していますよね。「反応」という意味になります。「話をふられたときの反応」のことを「リアクション」という言葉で表現することに慣れているのではないでしょうか。大げさな「リアクション」を芸風とするお笑いタレントさんの活躍でおなじみですよね。「reaction」を分解すると「re」+「action」になります。「action」は「アクション」で「行動」「動作」を意味しますよね。「re-」という接頭辞は「再び」「反対に」を意味する「リ」になります。「リターン」や「リフォーム」の「リ」も同じですよ。そう考えると「リ・アクション」を「反・作用」と訳すことができますよね。物理の「作用・反作用の法則」というのは「action-reaction law」になりますからね。
「作用があればかならず反作用が生じており、その大きさは等しく方向が反対である」これが「作用・反作用の法則」です。「リアクション」をこの「反作用」であると考えると、「アクション」すなわち「行動」をおこす際に注意すべき点が見えてくると思います。相手に対して何らかの働きかけをする場合に気を配るべき点です。物理の法則では相手に作用するのは目に見えない「力」になりますが、人間関係においては「相手に対する関心の度合い」が作用するのだ、と考えてみてください。相手に「無関心」のまま働きかけたとしても、返ってくるのは「無関係ですよね」というつれない対応になります。少しでも「あなたに関心があります」という態度で働きかければ、「私のことを見てくれている」という反応が返ってきますから。メダル授与式の例でいうと「あなたがフランス人であるということを知っていますよ」という意味を込めて「フェリシタシオン」と声をかけると、「メルシー」という笑顔の返事が戻ってくるのです。相手がどんなリアクションをするのだろう?と考えること自体が、相手に対して関心を払っているということになりますからね。
今年の夏は東京でパラリンピック競技大会が開催されましたね。記憶に残る熱戦が繰りひろげられました。個性や能力を自分たちらしく発揮する選手たちの活躍に目を奪われましたよね。今回のパラリンピック競技大会を契機に、われわれ一人ひとりが多様性への理解を深めていくことにつながっていったと思います。「誰もが生きやすい社会を目指して」というのが、大会が掲げた目標です。社会の様々な分野において、ダイバーシティ(多種多様性)とインクルージョン(包括・一体性)を推進していくことが求められています。多様な個性のある人々が、自分らしさを発揮しつつ、違いを認め合い、そしてその違いを活かしながら協力することの必要性を、多くの人々に認識してもらうこと。この大会の意義は十分に果たされたと思います。
さて私は、パラリンピックの三つの競技で、メダル授与式のプレゼンターを務めさせて頂きました。金・銀・銅のメダルをのせたトレーを、選手の方々のもとに運ぶ任務ですね。組織委員会から「運営貢献者」ということでご指名があったのです。ブリーフィング(事前の説明)では「メダリストにはコングラッチュレーションと、一言お願いします」と連絡があったのですが、メダリストの皆さんが全員「英語圏」出身の選手というわけではありませんよね。せっかくですから、英語だけではなくフランス語・中国語・ロシア語での「おめでとうございます」を確認しておきました。ドイツ語やスペイン語を準備しなかったのは、担当する競技のファイナリスト(決勝戦進出者)にはいらっしゃらなかったからです。ちなみにフランス語では「フェリシタシオン」、中国語では「ゴンシー、ゴンシー」、ロシア語では「パズドラヴリャーユ」になります。でも「カナ表記」を覚えたとしても、「発音」が正しくなければ相手に伝わりませんよね。そこでインターネットの動画を見て、ネイティブスピーカー(その言語を母国語として話す人)の発音を繰り返し耳にしておきました。なんと便利な世の中になったものだと、感心しながらです。デジタルネイティブ世代(生まれたときからインターネットが身近にある世代)である方々にとっては「当たり前」なのかもしれませんが、私が外国語を勉強しようとした何十年前には「夢」でしかありませんでしたよ、本当に。こうしてインターネットの恩恵にあずかった結果、フランスの選手からは「メルシー(フランス語でありがとう)」と、中国の選手からは「シエ、シエ(中国語でありがとう)」と笑顔で返事が戻ってきましたよ!私が事前の準備をしようと思ったのは、このリアクションをイメージしていたからなのです。
「リアクション」は英語の「reaction」が由来の言葉ですが、日常会話でもよく耳にするようになり日本語として通用していますよね。「反応」という意味になります。「話をふられたときの反応」のことを「リアクション」という言葉で表現することに慣れているのではないでしょうか。大げさな「リアクション」を芸風とするお笑いタレントさんの活躍でおなじみですよね。「reaction」を分解すると「re」+「action」になります。「action」は「アクション」で「行動」「動作」を意味しますよね。「re-」という接頭辞は「再び」「反対に」を意味する「リ」になります。「リターン」や「リフォーム」の「リ」も同じですよ。そう考えると「リ・アクション」を「反・作用」と訳すことができますよね。物理の「作用・反作用の法則」というのは「action-reaction law」になりますからね。
「作用があればかならず反作用が生じており、その大きさは等しく方向が反対である」これが「作用・反作用の法則」です。「リアクション」をこの「反作用」であると考えると、「アクション」すなわち「行動」をおこす際に注意すべき点が見えてくると思います。相手に対して何らかの働きかけをする場合に気を配るべき点です。物理の法則では相手に作用するのは目に見えない「力」になりますが、人間関係においては「相手に対する関心の度合い」が作用するのだ、と考えてみてください。相手に「無関心」のまま働きかけたとしても、返ってくるのは「無関係ですよね」というつれない対応になります。少しでも「あなたに関心があります」という態度で働きかければ、「私のことを見てくれている」という反応が返ってきますから。メダル授与式の例でいうと「あなたがフランス人であるということを知っていますよ」という意味を込めて「フェリシタシオン」と声をかけると、「メルシー」という笑顔の返事が戻ってくるのです。相手がどんなリアクションをするのだろう?と考えること自体が、相手に対して関心を払っているということになりますからね。
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