fc2ブログ
 「インクルージョン」

 東京大学が「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を定めました。この宣言は「ダイバーシティ(多様性)の尊重」と「インクルージョン(包摂性)の推進」という二つの項目によって構成されており、「多様性」と「包摂性」が均等な価値を持つことを示しています。そして東京大学が、世界的人材を輩出していくためには「多様性」と「包摂性」を実現することが不可欠である、と考えていることが分かる内容になっています。
 ダイバーシティ(diversity)とは、英語で「多様性」を意味する言葉であり、皆さんも耳にすることが多くなったと思います。集団において、年齢・性別・人種・宗教・趣味嗜好など様々な属性の人たちが集まった状態のことを指しています。東京大学の宣言の中でも、そうした属性によって「差別されることのないことを保障します」とうたわれています。 ダイバーシティは、一人ひとりが自分らしく生きることができる社会をつくるための普遍的価値になります。つまりダイバーシティは、基本的人権に根差し、無条件に尊重されるべき理念なのです。
 一方、インクルージョン(Inclusion)は、英語で「受容(受け入れる)」という意味があり、宣言の中では「包摂性」と訳されています。東京大学といえば、受験生にとっては最も「狭き門」というイメージがあります。その東京大学が「受け入れます」と宣言しているのですから、これはどういう意味になるのでしょうか。この部分の宣言にはこうあります「様々な属性や背景を理由に不当に排除されることなく参画の機会があることを保障します」と。無条件に認められる「多様性」に対して、「包摂性」は「不当に排除されない」という扱いになっています。「不当に」の反対は「公正に」ということでしょう。ですから「不当に排除される」ということの反対を「公正に選抜される」ことだと理解すれば、東京大学で学ぶことが無条件で認められるわけではないことが分かりますよね。さらにインクルージョンに関する決定は「一度きりの最終形ではなく、社会や時代の文脈によって不断に問い直され、見直される」とも表明されています。東京大学の真摯な姿勢がうかがわれます。
 多様な個性と背景、多彩な才能を持つ人々が集まり、差別や偏見を克服する活気にあふれた「東京大学コミュニティ」をつくりたい、という宣言でもあります。総合大学である東京大学の中では、無数の、そして広範囲の活動が、現在進行形で展開されています。そこに「誰でも学べる」「みんなで学べる」という観点で参加が可能になるような地域に開かれた東京大学の姿を、私も卒業生の一人として、また東京大学に隣接する町会コミュニティにも属している一人として、期待してしまいます!