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 鳥取県岩美町「バーベキュー禁止条例」

 今回紹介するのは鳥取県岩美町で制定された条例です。岩美町は鳥取県の最東北端に位置していますよ。ですから他の県と接していることになります。どこだかわかりますか?兵庫県の新温泉町になります。新温泉町は兵庫県の最西北端ということにもなりますね。ともに日本海に面していますので、これ以上北に陸地はなく、東西に並んで接しているのです。日本海側気候であり、豪雪地帯に指定されていますよ。
 岩美町は、町の全体がユネスコ世界ジオパークに認定された「山陰海岸ジオパーク」エリアの中にあることでも知られています。「ユネスコ世界ジオパーク」というのは、国際的に価値のある地質遺産(科学的に重要な地質・地形)を保護することで、自然環境や地域の文化への理解を深め、さらには科学研究や教育、地域振興等に活用することによって、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的とした事業になります。現在、世界で46か国・177のユネスコ世界ジオパークが認定されており、日本からは「山陰海岸」を含めた9地域(他に、洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、室戸、隠岐、阿蘇、アポイ岳、伊豆半島)が登録されていますよ。どの点が「科学的に重要」なのかと言いますと、岩美町の「浦富海岸(うらどめかいがん)」は、東西約15kmにわたるリアス式海岸であり、さらに「海が作った彫刻」と呼ばれる美しい海食地形となっているところです。日本海の荒波と風雪によって浸食された断崖絶壁、洞門、洞窟、奇岩が並んでいるのです。そこに白砂青松の砂浜も広がっており、山陰海岸国立公園の名勝としても知られていますよ。
 また、岩美町は「冬の味覚の王者」と称される「松葉がに」の漁獲量日本一を誇る町でもあります。「松葉がに」とは成長したズワイガ二の雄のことで、山陰地方での呼称になります。北陸地方では「越前がに」と呼ばれていますね。立冬の頃に行われる松葉がにの初セリは、山陰に冬の訪れを知らせる風物詩として知られていますよ。その11月の第4土曜日は鳥取県「松葉がにの日」として指定されています。平成16年10月に岩美町制施行50周年を記念して制定されたのでした。由来は江戸時代に記された鳥取藩の文献に「松葉がに」という名称が登場したことによります。『町目付日記』に、11月13日という日付も記されていることから記念日が決まりました。「目付」というのは、江戸幕府及び諸藩における職名の一つで「監察(調査し取り締まること)を務める役」を意味しています。幕府でしたら「大目付」は大名の監察、「目付」は旗本・御家人の監察ですよね。鳥取藩で御用座敷(藩の役人が勤務する場所)の建て替えが行われ、完成の棟上げ式の祝宴に出された献立に「松葉がに」が登場しているのです。他にも鳥取藩主が、岡山藩主や津山藩主に「松葉がに」を贈った記録が残されていて、江戸時代から「由緒正しい鳥取県の冬の贈答品」という扱いだったと考えられています。
 毎年恒例の「学校給食で、一人1杯の松葉がにが提供されました」というニュースは、岩美町の中学校三年生にふるまわれるものですよ。町内の漁港で水揚げされてゆでられたものが、町立岩美中学校の三年生全員に給食で提供されます。甲羅の大きさは10cm以上にもなりますよ。町特産のカニを通じて故郷への誇りや愛着を持ってもらおうと、毎年町教育委員会が企画しているのです。教育委員会は、地域の公共事務のうち、教育・文化・スポーツ等に関する事務を担当する機関として、全ての都道府県及び市区町村に設置されています。それは広く地域住民の意向を反映した教育行政を実現するためなのです。
 そんな鳥取県岩美町で制定されたのが「キャンプ及びバーベキュー等禁止区域に関する条例」です。令和3年4月1日に施行されました。
 新型コロナウイルス感染症の流行以降、「風通しがよい環境下でのレジャー活動」に注目が集まるなか、「アウトドアブーム」とも呼ばれる状況が続いています。屋外でのキャンプやバーベキューを楽しむ人が増えているのです。他方で、多くの人がバーベキューを行うことにより、ごみの投棄や散乱が見られるようになり、さらには悪臭も発生しています。また、騒音や不法駐車の増加等の問題も生じてきてしまいました。このため、条例を制定して、特定の場所以外でのバーベキューを禁止する自治体が現れたのです。
 岩美町の条例では、岩美町内の海岸部でのキャンプやバーベキュー等を規制することにしました。山陰海岸国立公園でありユネスコ世界ジオパークにも認定されている場所ですからね。地域の環境や秩序を守ることを目的とした条例制定です。条例に違反した場合、1万円以下の罰金が課されることにもなります。地方自治法第14条第3項に基づいて、条例の中に罰則規定を設けることができるからです。「決められた場所以外でのキャンプやバーベキュー等はやめましょう」と、岩美町はお願いしています。
 こうした自治体の動きに対して日本バーベキュー協会からコメントが出されています。「バーベキュー規制条例には大賛成。迷惑している人がいる限り、その場所でのバーベキューは禁止するべきと考えています。行って良い場所とダメな場所を、はっきりと明文化する必要があります。」とのことです。また「バーベキューを禁止するというだけでなく、快適で使いやすいバーベキューの環境整備も行ってほしい」ともアピールしています。確かに、バーベキューは人と人を繋ぎ、また地元の物品の販売促進にもなり、地域振興につながりますからね。ルールを守って楽しくアウトドアブームに乗りましょう。