2017.12.07 順風満帆
 「順風満帆」

 「じゅんぷうまんぱん」と読みます。「順風」というのは「人や船が進む方向に吹く風」を意味しています。「追い風」のことですね。また「満帆」というのは「帆をいっぱいに張ること」を意味しています。ですから「順風満帆」というのは「追い風を帆いっぱいに受けて船が軽快に進んでいく様子」を表していることになります。そこから、「物事がすべて順調に進行すること」のたとえとして使われることになるわけですね。
 私はこの「順風満帆」という四字熟語を耳にすると、ついつい思い出してしまう歴史的事件があります。1274年の「文永の役」と1281年の「弘安の役」、鎌倉時代に二度にわたって日本を襲った国難、「元寇」です。当時世界最強の帝国であった「元」のフビライが、日本の鎌倉幕府の執権北条時宗に屈服を迫るのですが、時宗は断ってしまいます。結果、大軍勢を引き連れた元軍が、九州は博多湾に侵入してきます。その時の様子は、「蒙古襲来絵詞」に詳しく描かれています。この作品は歴史の教科書や資料集に登場する「最も有名な作品」と言われており、高校入試にも「最もよく出る」とささやかれていますよ。元軍の「てつはう」や「集団戦法」に苦しめられた、というのもご存知の内容ではないでしょうか。この二度にわたる「元寇」ですが、いずれも元軍にとっては運悪く、強烈な暴風雨に見舞われてしまい、退却を余儀なくされました。日本にとっては運良くやってきてくれた暴風雨ですよね。まるで日本を守るために、タイミングよく吹いてくれた強烈な風です。ここから「神風」という言葉も生まれました。
 「たまたま偶然が、重なっただけだよ」とそんな感想が聞こえてきそうですが、「いやいや、必ず神風は吹いたに違いない!」という意見の方もいらっしゃいます。私の中学校の先輩に、大手大学受験予備校の日本史の講師を担当された先生がいらっしゃいます。いわゆる「人気アンケート」で日本一に輝いた実績もお持ちの先輩なのですが、その先輩が教えてくれました。「元軍が何度やってこようとも、必ず暴風雨は吹いたでしょう」と。「それって神風でしょうか?」という筆者の問いに対して、先輩は次のように解説して下さいました。
 元軍はどうやって日本にやってくるのかを考えてみましょう。当然、船でやってくるわけですね。ペーリーの時代はまだ先の話ですから、蒸気船ではありません。では、人力で船をこいでいたのでしょうか?そうでもありません。帆船なのです。帆を張って風の力で船を進めていたのですね。「待てば海路の日和あり」というように、海が荒れていれば出航もできませんが、進行方向に向かって「いい風」が吹いていなければまた、遠くへの船出は難しかったのです。ですから、九州方面に向かって「すごくいい風」が吹くタイミングでなければ、「元寇」は行えない。この九州方面に向かって継続的に吹く強い風、というのがポイントで、これは端的に「台風」のことを指しているのだ、というオチ(笑)です。元軍は常に台風の進路にのって日本にやってきた、ということになります。だから「何度日本にやってきても、必ず神風=台風は吹くのです」と。
 「順風満帆」=帆にいっぱいの風を受けて進む元軍。先輩のおかげで、このイメージが筆者の頭には焼きついてしまいました。「追い風だと思い込む前に、冷静に状況分析」というのが、オトナにとって必要な態度だと思うようになりましたね。「順風」には気をつけましょう(笑)。


 
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