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2018.11.11 過去問
 「過去問」

 「カコモン」という言葉は、受験生でなくても耳にしたことがあるのではないでしょうか。「過去に出題された試験問題」を略して「過去問」と呼んでいるのですが、受験業界ではもちろん入試問題のことを指しています。
 さて受験勉強で過去問に取り組む意義というのは何でしょうか?「過去に出題された」わけですから、これと同じ問題が次年度の入試に出題されることはない、と考えられます。だとするならば、入試には出ない問題を解く意味があるのか?という疑問が浮かび上がりますよね。でも、もちろん重要な意義があります。「入試対策は過去問が全て」と言っても過言ではありませんからね。
 一つには「出題の形式を理解するため」です。入学試験は限られた時間に最大限のパフォーマンスを発揮しなければなりませんから。試験時間が何分であるのか、どんな形式の問題が出題されるのか、それを知らないで受験するというのは、何メートル走るのかを知らないでトラック競技に出場するようなものです。100メートル走なのか1500メートル走なのかを知らないで出番を迎える選手はいないでしょう。スタートしてどこかでスパートをかけようと思っているうちに100メートルが終わってしまう。逆に最初から全力疾走に挑んで1500メートルを走りきらずに力尽きてしまう。そんなバカなことが、と思うかもしれませんが、現実に「試験時間が60分だと思っていました。実際は50分なのに…」ということがおきています。同じ学校でも国語と数学で試験時間が違うといったことがあるからです。正確な試験時間に基づいて、それぞれの問題にどれくらいの時間をかけるのかを考えておかなくてはなりません。選択肢の問題が多いのか、記述問題が多いのか、設問数は全部でどれくらいなのか。出題形式を考慮して時間配分を考えるのです。50分なら50分という試験時間の間に、何をどれくらいのペースで解くのがよいのか、自分にとってのベストの配分を見つけ出すことが重要です。最大限のパフォーマンスということの意味はこれなのです。
 もう一つは「出題の内容を理解するため」です。出題傾向を見極めるのです。学校によって出題される分野に偏りがみられることがあります。どうして偏りが出てしまうのか?出題者の気持ちになって考えなくてはなりません。入試問題は学校から受験生に向けてストレートに発信されています。この問題が解ける生徒は、うちの学校に入学してほしい!という非常に強いメッセージがこめられていることを理解してください。この分野に強い受験生、このジャンルに興味のある受験生に、ぜひ入学してほしい!という出題者の心の叫びが聞こえてくれば一人前ですね。ただし、これを受験生に求めるのは酷というものでしょう。では、どうするのか。そのためにこそ入試問題分析を専門とする塾講師の存在意義があるのです。一人前というのは、塾講師として、という意味ですからね。毎年毎年、入試問題を解き続けているわれわれです。行き着く先は「入試問題予想」になります。過去問をふまえて、次年度の入試問題を当てにいく。ズバリ的中を目指しているのです。
 私が塾業界にのめり込んだ原因の一つが、この入試問題予想になります。「出題傾向どおりならば、絶対にこの作者のこの文章が出題されるはずだ!」と思いつき、いてもたってもいられなくなり、受験前の最終授業でその箇所を取り上げて解説をおこない、本当にそのまま入試で出題されたことがあります。長年塾講師を務めていますので何度も的中を経験しているのですが、最初に「ズバリ的中」させた体験は強烈で、その後の私の人生にも大きな影響を与えました。当時はまだ大学の研究室にも籍を置いていた田中です。プロフィールに「人文科学研究科」とありますよね。それがその名残です(笑)。
 何を研究していたのかといいますと、人類の歴史や社会の成り立ちについてです。かつての人類が「どんな生活をしていたのか」「どんな体験をしたのか」を考えていました。過去問と同じように、全く同じ状況が今の社会におこることはないのですが、歴史をふまえて考察することで、今の問題への向き合い方が変わってくるのです。「人間とは何で、どうあるべきか」ということについて答えようとすること。これが人文科学の存在意義です。人間そのものが、ものすごいスピードで変化し続けています。これからの人間観を模索しなくてはなりません。そのためにも人類の歴史=過去問への取り組みは重要なのですよ。どうですか?過去問の意味合いは深いでしょ!
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