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2016.09.14 危機管理
「危機管理」

 九月一日が「防災の日」だというのはご存知ですよね?地元で開催された防災訓練などに参加した皆さんも多いことでしょう。あらためて、災害に対する備えや心構えは万全だろうか?と自問するよい機会でもあります。言うまでもありませんが、九月一日は、関東大震災(大正十二年)が発生した日です。十四万人以上の死者と四十四万棟以上の家屋焼失を招いた大震災でした。九月一日を「防災の日」と定めたのは、この甚大な被害を忘れないようにするためと、暦の上では二百十日にあたり台風シーズンをむかえることからも、国民に注意を喚起する目的で、昭和三十五年六月十七日閣議の了解のもとに決定されたのです。
 地震や豪雨などの災害は、いつどこに襲いかかるかわかりません。家庭や地域、学校などで日ごろから避難場所や非常用品の確認を行っておきましょう。備蓄食料は最低でも三日分の用意をしておきましょう。ひとりで一日に必要な飲料水は3リットルぐらいですからね。「非常持出品」は、すぐ持ち出せる場所に置いておきましょう。ついでに言うと、緊急避難のときに持って逃げる「非常持出品」と災害後の生活をささえる「非常備蓄品」は、分けて備えておきましょう。
 こうした、いつ起こるかわからない自然災害や危機事象に備えて、予め体制を整えておくことは、とても重要なことです。皆さんがお住まいの自治体にも「危機管理室」といった部署が置かれ、住民の生命や財産を守るために、日々防災力の向上に取り組んでいると思います。
 さて、この「危機管理」という言葉ですが、もとは英語になります。「管理」は英語でmanagement・マネジメントです。ピーター・F・ドラッカーの『マネジメント』という本が有名ですが、英語でマネジメントと言えば「管理」とともに「経営」も意味します。ビジネスマンが読む経営書ですね。その経営書を、マネージャーの「ハウツー本」だと勘違いして、女子高生が手にとってしまうという設定なのが、ベストセラーとなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』です。ドラマにもアニメにもなりましたので、皆さんもご存知ですよね。
 では「危機」の方はどうでしょうか。実は、日本語の「危機管理」という言葉は、二つの英語の言葉を、両方意味しているという状況になっています。一つはcrisis  management・クライシスマネジメント。もう一つはrisk management・リスクマネジメント。クライシスとリスク、ともに「危機」と日本語表記されることがありますが、この二つの言葉の持つ意味合いは、随分と違うものなのです。
 クライシスというのは、既に発生した事態を指しています。これに対してリスクというのは、まだ発生していない危険を指します。ここから、クライシスマネジメントとリクスマネジメントの違いが見えてくると思います。つまりクライシスマネジメントというのは、既に起きた事故や事件に対して、そこから受けるダメージをなるべく減らそうという発想なのです。ですから、大災害や大事故の直後に設置される「危機管理室」というのはクライシスマネジメントのことになるわけです。ぴったりとくる日本語は「善後策」になると思います。
 これに対してリスクマネジメントは、これから起きるかもしれない危険に対して、事前に対応しておこうという行動になります。ですから、今後予想される首都直下地震に備えて、現在各自治体に設置されている「危機管理室」の方は、リスクマネジメントのことになるわけです。こちらのぴったりくる日本語は「最善をつくす」になるでしょうか。
 クライシス(Crisis)の語源は、「将来を左右する分岐点」という意味だそうです。既に起きた事態を扱うということは、どうしても受動的になります。マイナスをいかに減らすかが目的となりますから。それでも、ダメージからうまく回復して、プラスの方向に向かわせるという点で、重要なことなのです。
 リスク(Risk)の語源は、「絶壁の間を船で行く」という意味だといわれています。たとえ両岸が絶壁であっても、あえてそこを越えないことには将来もひらかれないというわけです。リスクは、自ら覚悟して突き進む危険という意味にもなるのです。
身近な例にあてはめてみましょう。外出するときに雨が降ってもぬれないですむよう、折り畳みの傘を用意していくのはリスクマネジメントですね。これに対して、傘を持たずに出て雨に降られてしまい、あわてて雨宿りの場所を探したり、コンビニでビニール傘を買ったりするのはクライシスマネジメントです。
 受験の世界での「危機管理」は、リスクマネジメントと考えたいですね。どんな入試問題が出題されても対応できるように準備しておくこと、ですね。そして、入試当日に熱を出したりしないように、インフルエンザの予防接種を受けておくこと、ですよ!
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