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2018.12.25 卑近な例
 「卑近な例」

 「ひきん」と読みます。「卑(ひ)」という言葉が、「卑(いや)しい」と読むことからも分かるように、「低い評価」を表しますので、「身近でありふれていること」=「価値がなくつまらない」という意味になります。
 「卑近な例」という言い回しは、確かに「身近でありふれた例を挙げるとすれば」という、「つまらない例」という意味にもなりますが、「身近でありふれた」=「具体的で分かりやすい」という面を強調すれば、誰もが納得する例の挙げ方、ということになりますからね。
 このことを理解するために「卑近」の反対語にあたる熟語を考えてみるとよいでしょう。答えは「高遠」になります。「高い」も「遠い」も小学校低学年で学習する漢字ですが、これを組み合わせた熟語というのは小学生には難しいレベルです。「高遠」はそのまま「こうえん」と読みますが、意味は「高尚で遠大」ということで、高次の思考の結果として、より純粋化され、抽象化され、観念化されていることを表す言葉になります。この「高遠」との対比で「卑近」をとらえてみると、「卑近な例」の意味合いが理解できると思います。
 「経済の好循環を実現し、持続可能な社会保障制度を確立します」といった「高遠な理想」を掲げたスローガンは、あまりに抽象的で心に響いてこないということは、選挙の際に皆さんも耳にして実感したのではないでしょうか(笑)。では、スローガンに「卑近な例」を入れ込んで成功したケースというのは、あるのでしょうか?日本の現代史を勉強している皆さんなら、聞いたことのあるフレーズになると思います。そう、教科書に載るほど有名になった「卑近な例」というものがあるのですよ。「お父さんの給料が2倍になります!2倍ですよ、2倍!」で成功した池田隼人首相の「所得倍増計画」や「トンネルを掘って線路でつなげば、新幹線は通る!」で日本の発展を約束した田中角栄首相の「日本列島改造論」などです。昭和の時代の具体的で分かりやすくインパクトのあるスローガンの好例でしょう。
 さて、平成不況からの出口を探る日本経済ですが、アベノミクスが賛否両論ありながらも、ある程度の期待を抱かせているのは、「日経平均株価が2倍になりましたよ!2倍ですよ、2倍!」という具体的な効果だと思います。さて次にどんな「卑近な例」が挙げられてくるのか。ぜひ、皆さんも注目してみてくださいね。「それでは高遠な理想に過ぎないね」なんて言われてしまうかもしれませんが。
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