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 徳島県三好市「エシカル消費共同宣言」

 今回紹介するのは徳島県三好市で「採択」された共同宣言です。条例を定める場合は「制定」という言葉を使うのですが、ここでは「採択」になっています。「採択」というのは、「提起された内容は妥当であり、会議体として賛同する」という意思決定を示しているのです。昨年の6月に開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)でも共同宣言が採択されていますよ。「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の団結の象徴として、安全・安心な形で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催することに対する我々の支持を改めて表明する」という言葉が含まれていましたね。実は三好市でも「自治体サミット」(いくつかの自治体が集まって行う首脳会議)が開催されていて、そこで採択された共同宣言を取り上げてみようと思うのです。
 三好市は徳島県の西部に位置しており、北は香川県、西は愛媛県、南は高知県に接しています。四国4県の全てに接しているとも言え、四国のほぼ中央にあることがイメージできるでしょうか。市の90%近くは山地によって構成されていますが、その中央部を吉野川が横切っています。吉野川は別名「四国三郎」と呼ばれ、全長194㎞で、こちらも四国4県の全てを流域に含むという特徴があります。四国を西から東へと流れ、紀伊水道へとまっすぐに注いでいく吉野川ですが、一部だけ南北に流れているところがあるのです。そこがちょうど三好市にあたり、四国山地を横切るかたちとなり深い渓谷が形成されています。なかでも切り立った崖が圧倒的な迫力でせまってくる景観を誇るエリアは「大歩危・小歩危」と呼ばれ、国の天然記念物・名勝にも指定されていますよ。
 吉野川は香川県にも流域が広がっているといいました。しかし、徳島県と香川県の境界には讃岐山脈が位置しており1000m級の山々が連なっています。2億年の時間をかけて四国山地を横切ったといわれる吉野川ですが、讃岐山脈を越えることはありませんでした。ではどうして吉野川が香川県と関係するのでしょうか?その答えが「吉野川総合開発事業」になります。香川県は年間降雨量が少なく大きな河川もないため、旱魃による水不足は深刻な問題で、古来より多くのため池が作られてきました。日本一大きなため池である満濃池(空海が整備したことでも有名ですよね)もその一つになります。その一方で、讃岐山脈をはさんだ徳島県の吉野川周辺では、大きな洪水による被害に苦しめられてきました。そこで、吉野川流域の安全と水の安定供給を目的とした吉野川総合開発事業が計画され、早明浦ダム、池田ダムとともに計画の一環として香川用水が建設されることになったのです。早明浦ダムに蓄えられている水が、吉野川を流下し、池田ダムを経て、讃岐山脈を貫いている導水トンネルを通って、香川県側に農業用水・工業用水・水道用水として供給されるのです。その香川用水の取水工と呼ばれる水の取り入れ口があるのが三好市なのですよ。
 さて、三好市という名前の由来はどこにあるのでしょうか。かつて徳島県は阿波国とよばれました。これは律令制の行政区分である「国」にあたりますが、この中を「郡」、さらには「里」と分けていくのが「国郡里制」という古代の地方行政のあり方でした。それぞれに「国司」「郡司」「里長」が置かれましたよね。阿波国の中にあった郡のひとつが「三好郡」であり、これが三好市の由来ともなっています。16世紀の後半には、三好郡を拠点にした三好氏が短期間ながら室町幕府を支配したことがありますよ。織田信長が活躍する少し前の話です。一時は有力な戦国大名でした。分国法も制定していましたよ。戦国大名が領国(分国)を統治するために定めた法令や規則ですよね。「喧嘩両成敗」を採用した武田氏の「信玄家法」や今川氏の「今川仮名目録」が有名です。三好氏の分国法は「新加制式」といいますが、これは大学受験レベルの知識ですので覚えなくても大丈夫です。
 そんな三好市で、平成30年の7月に「採択」されたのが「エシカル消費自治体サミット共同宣言」になります。「エシカル」というのは英語でethical。訳すと「倫理的な」になります。「倫理」というのは「社会生活で人が守るべき道」という意味です。共同宣言にはこうあります。「私たちは、愛する地球から世界と未来を見つめ、公正で持続可能な社会づくりのために一人一人ができることを考え、語り合いながら行動します。そして、誰一人取り残さない世界の実現を目指し、多様性を尊重し、協働の輪を広げながら主体的にエシカル消費を推進することを宣言します」と。私たちは、日々の暮らしの中で、モノを買ったり、食べたり、使ったりと、様々な「消費」を行っています。そうしたひとり一人の行動において、「何を買うか・買わないか」といった選択を意識的に行うことで、環境や人権といった社会的な課題の解決につなげていこうというのが「エシカル(倫理的な)消費」なのです。フェアトレード商品(適正な価格で継続的に取引された途上国の原料や製品を使った商品)を選んだり、エコ商品(リサイクル素材を使ったものや資源保護などに関する認証がある商品)を買ったりすることも、実践の一つになります。「買い物で未来を変えられる」(政府広報)というのがエシカル消費のポイントですからね。国においても、「グリーン購入法」を定めて、調達(国がする買い物ですね)の際には環境への負荷ができるだけ少ない製品を選ぶこと、としていますよ。小学生の皆さんにも「何ができるか?」という発想が求められますね。エシカルな製品の目印として様々な「認証ラベル」がありますので(FSC認証、MSC認証、GAP認証など)調べてみるのもいいでしょう。
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