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2022.09.04
日本のへそ条例
兵庫県西脇市「日本のへそ条例」
今回紹介するのは兵庫県西脇市で制定された条例になります。その名も「日本のへそ」条例です。ここでいう「へそ」とは、人間の体の中心に位置するもの、という意味合いになります。ですから「日本のへそ」というのは「日本の中心に位置する」ということになるのです。西脇市は、東経135度と北緯35度の交会点(経線と緯線が交わる地点)があることから、「日本のへそのまち」としてPR(広報)しているのです。
「先生、東経135度といえば明石市ではないのですか?」という声が聞こえてきそうです。そうですよね、確かに教科書にも次のように記されています。「日本の標準時子午線は、兵庫県明石市を通る東経135度で、その上に太陽が位置するとき、全国いっせいに午後0時となります」と。でも、北極と南極を結ぶ縦の線が経線ですから、当然日本列島を縦断しているはずなのです。そう、日本標準時子午線が通るのは明石市だけではありません。兵庫県の中だけでも9市、京都府と和歌山県をくわえると12市にもなります。北から、京都府の京丹後市、兵庫県の豊岡市、京都府の福知山市、以下兵庫県の丹波市、西脇市、加東市、小野市、三木市、神戸市、明石市、淡路市と続き、最後に和歌山県の和歌山市(友ヶ島)に至るのです。
ではなぜ、明石市が「子午線のまち」として認知されているのでしょうか。実はこれもPR(広報)の結果なのです。今から百年以上前の1910年、日本標準時子午線が明石を通っていることを示す標識が立てられたのが、子午線のまちとしてのスタートだったのです。
「先生、135度ですが、どうしてそんな中途半端な数字になったのですか?140度なら東京湾を通るので、日本の時間はこっちに決めたほうが都合がよかったのではないですか?」という質問を受けたことがあります。確かに日本標準時は東京にあったほうが、日本国内の政治・経済的には都合がよかったのかもしれませんね。でも、135度が選ばれたのは「15」で割り切れる数字だったことが理由になるのです。地球の一周360度を24時間で割ると15度となり、経度15度ごとに1時間の時差があることになります。東経135度では世界標準時(経度0度)からちょうど9時間(135÷15)の時差となるのですね。もし東京の少し東側を通る東経140度を日本標準時としていたら、9時間20分という逆に中途半端な時差となってしまうのでした。
140度といえば、もう一つ覚えておいたほうがいいポイントがあります。それは東経140度と北緯40度の交会点です。10度単位の経線・緯線で交差しているのは日本に一ヶ所しかありませんよ。秋田県の大潟村です、記念塔も立っていますから。「世紀の大事業」と呼ばれた大潟村の誕生についてはご存知ですよね。面積220K㎡と日本の湖沼面積では琵琶湖に次ぐ第2位であった八郎潟。この大部分の水域が干拓によって陸地化され、陸地部分が大潟村になったのでしたね。戦後の食糧不足を解消するために、国の事業として農地を増やす計画が進められました。日本の土木技術を結集し、またオランダの技術協力を得て、計画・着工・試行錯誤を重ねながらの工事を経て、実に20年の歳月をかけて大事業が完了したのでしたね。
さて「日本のへそ」の話でした。西脇市以外にも「日本のまんなか」を名乗る市は存在します。群馬県の渋川市です。本土最北端である北海道の宗谷岬と本土最南端である鹿児島県の佐多岬を結ぶ一本の直線の真ん中に位置しているのが渋川市だというのです。ちなみに佐多岬には道路標識が出ていて「本土最北端の宗谷岬まで2700km」と表示されていますよ。日本地図を広げて線を引いてみてください。確かに渋川市は「日本列島の真ん中」といえる場所にあります。渋川市が「日本のへそ」である根拠には、もう一つ歴史的な背景があります。時は平安時代、桓武天皇により征夷大将軍に任ぜられた坂上田村麻呂が蝦夷征討を行い、802年に帰京の途中に渋川の地に立ち寄り「ここは日本の中心地である」と「臍石(へそいし)」を置いたというエピソードが伝えられているのです。現在でも渋川市では、毎年「渋川へそ祭り」というイベントを開催しています。
西脇市の立場が危うくなってきました?そこで、というわけではないですが「日本のへそ」をPR(広報)することが重要になるのです。明石市の例もありますからね。西脇市の条例を見てみましょう。「日本のへそ西脇地域食材でおもてなし条例」が正式な名称です。平成28年の制定になります。地域経済の活性化を図る目的を持つ「おもてなし」条例ですよね。「地域食材の魅力について認識を深め、その魅力を広く発信し、本市に更なるにぎわいの創出を目指します」という。他の自治体でも多く制定されている条例ですから、西脇市のねらいは「日本のへそ」を盛り込んでPRすることにもあるように思えます。
西脇市と渋川市、ライバル関係にあるのでしょうか?いえいえ、「へそ」を名乗る自治体はなんと全国で10もあるのです!「全国へそのまち協議会」を結成して、北は北海道富良野市から南は沖縄県宜野座村まで、お互いに親善と交流を深めながら、産業や文化の振興、活力と魅力ある地域づくりに取り組んでいます。西脇市も渋川市もそのメンバーなのです。さらには、加盟市町村が全国に点在しているという地理的特性を活かして、災害時の応援体制を定めた災害時相互応援の覚書も締結されていますよ。総務省消防庁の報告によると、こうした災害時の相互応援協定の締結については多くの自治体で進められているということです。
今回紹介するのは兵庫県西脇市で制定された条例になります。その名も「日本のへそ」条例です。ここでいう「へそ」とは、人間の体の中心に位置するもの、という意味合いになります。ですから「日本のへそ」というのは「日本の中心に位置する」ということになるのです。西脇市は、東経135度と北緯35度の交会点(経線と緯線が交わる地点)があることから、「日本のへそのまち」としてPR(広報)しているのです。
「先生、東経135度といえば明石市ではないのですか?」という声が聞こえてきそうです。そうですよね、確かに教科書にも次のように記されています。「日本の標準時子午線は、兵庫県明石市を通る東経135度で、その上に太陽が位置するとき、全国いっせいに午後0時となります」と。でも、北極と南極を結ぶ縦の線が経線ですから、当然日本列島を縦断しているはずなのです。そう、日本標準時子午線が通るのは明石市だけではありません。兵庫県の中だけでも9市、京都府と和歌山県をくわえると12市にもなります。北から、京都府の京丹後市、兵庫県の豊岡市、京都府の福知山市、以下兵庫県の丹波市、西脇市、加東市、小野市、三木市、神戸市、明石市、淡路市と続き、最後に和歌山県の和歌山市(友ヶ島)に至るのです。
ではなぜ、明石市が「子午線のまち」として認知されているのでしょうか。実はこれもPR(広報)の結果なのです。今から百年以上前の1910年、日本標準時子午線が明石を通っていることを示す標識が立てられたのが、子午線のまちとしてのスタートだったのです。
「先生、135度ですが、どうしてそんな中途半端な数字になったのですか?140度なら東京湾を通るので、日本の時間はこっちに決めたほうが都合がよかったのではないですか?」という質問を受けたことがあります。確かに日本標準時は東京にあったほうが、日本国内の政治・経済的には都合がよかったのかもしれませんね。でも、135度が選ばれたのは「15」で割り切れる数字だったことが理由になるのです。地球の一周360度を24時間で割ると15度となり、経度15度ごとに1時間の時差があることになります。東経135度では世界標準時(経度0度)からちょうど9時間(135÷15)の時差となるのですね。もし東京の少し東側を通る東経140度を日本標準時としていたら、9時間20分という逆に中途半端な時差となってしまうのでした。
140度といえば、もう一つ覚えておいたほうがいいポイントがあります。それは東経140度と北緯40度の交会点です。10度単位の経線・緯線で交差しているのは日本に一ヶ所しかありませんよ。秋田県の大潟村です、記念塔も立っていますから。「世紀の大事業」と呼ばれた大潟村の誕生についてはご存知ですよね。面積220K㎡と日本の湖沼面積では琵琶湖に次ぐ第2位であった八郎潟。この大部分の水域が干拓によって陸地化され、陸地部分が大潟村になったのでしたね。戦後の食糧不足を解消するために、国の事業として農地を増やす計画が進められました。日本の土木技術を結集し、またオランダの技術協力を得て、計画・着工・試行錯誤を重ねながらの工事を経て、実に20年の歳月をかけて大事業が完了したのでしたね。
さて「日本のへそ」の話でした。西脇市以外にも「日本のまんなか」を名乗る市は存在します。群馬県の渋川市です。本土最北端である北海道の宗谷岬と本土最南端である鹿児島県の佐多岬を結ぶ一本の直線の真ん中に位置しているのが渋川市だというのです。ちなみに佐多岬には道路標識が出ていて「本土最北端の宗谷岬まで2700km」と表示されていますよ。日本地図を広げて線を引いてみてください。確かに渋川市は「日本列島の真ん中」といえる場所にあります。渋川市が「日本のへそ」である根拠には、もう一つ歴史的な背景があります。時は平安時代、桓武天皇により征夷大将軍に任ぜられた坂上田村麻呂が蝦夷征討を行い、802年に帰京の途中に渋川の地に立ち寄り「ここは日本の中心地である」と「臍石(へそいし)」を置いたというエピソードが伝えられているのです。現在でも渋川市では、毎年「渋川へそ祭り」というイベントを開催しています。
西脇市の立場が危うくなってきました?そこで、というわけではないですが「日本のへそ」をPR(広報)することが重要になるのです。明石市の例もありますからね。西脇市の条例を見てみましょう。「日本のへそ西脇地域食材でおもてなし条例」が正式な名称です。平成28年の制定になります。地域経済の活性化を図る目的を持つ「おもてなし」条例ですよね。「地域食材の魅力について認識を深め、その魅力を広く発信し、本市に更なるにぎわいの創出を目指します」という。他の自治体でも多く制定されている条例ですから、西脇市のねらいは「日本のへそ」を盛り込んでPRすることにもあるように思えます。
西脇市と渋川市、ライバル関係にあるのでしょうか?いえいえ、「へそ」を名乗る自治体はなんと全国で10もあるのです!「全国へそのまち協議会」を結成して、北は北海道富良野市から南は沖縄県宜野座村まで、お互いに親善と交流を深めながら、産業や文化の振興、活力と魅力ある地域づくりに取り組んでいます。西脇市も渋川市もそのメンバーなのです。さらには、加盟市町村が全国に点在しているという地理的特性を活かして、災害時の応援体制を定めた災害時相互応援の覚書も締結されていますよ。総務省消防庁の報告によると、こうした災害時の相互応援協定の締結については多くの自治体で進められているということです。
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