| Home |
2023.04.08
ケアラー支援条例
埼玉県さいたま市「ケアラー支援条例」
今回紹介するのは埼玉県さいたま市で制定された条例です。さいたま市は人口130万人をこえる政令指定都市になります。埼玉県の南東部に位置しており、東京都心から 20~40km 圏にすっぽりと収まっているかたちです。現在20ある政令指定都市の中では、唯一内陸県(海に面していない県)にあります。ちなみに政令指定都市20市の市長によって構成されているのが「指定都市市長会」です。大都市に共通する課題についての話し合いが行われていますよ。最近の「大都市制度実現プロジェクト会議」では、これまでの「特別自治市」という呼称があまり広まっていないことを理由に、新たに「特別市」という通称名を使って情報発信に努めようという決定がなされましたよ。さて政令指定都市であるさいたま市は、行政単位として市の中に区を持つことができます。行政区と呼ばれ、さいたま市には10区あります。桜区・浦和区・南区・緑区・西区・北区・大宮区・見沼区・中央区・岩槻区ですね。このうち「固有名詞」で成立している区について確認してみましょう。すなわち浦和区・大宮区・見沼区・岩槻区の4つになります。
浦和は埼玉県の県庁所在地でもあり、古くから中山道の宿場町として繁栄してきました。中山道は日本橋を起点に、板橋宿・蕨宿・浦和宿と続きますからね。浦和は三番目の宿場なのです。では四番目は?大宮宿になりますよ!
大宮は、東北・北海道新幹線の「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」「はやて」、山形新幹線の「つばさ」、秋田新幹線の「こまち」、上越新幹線の「とき」「たにがわ」、北陸新幹線の「かがやき」「はくたか」「あさま」「つるぎ」と、5つの路線の新幹線12種が走るという鉄道の結節点であり、東北・上信越方面から首都圏への玄関口になっていますよね。
見沼という地名は江戸時代の歴史に登場しますよ。「米将軍」と呼ばれた江戸幕府8代将軍の徳川吉宗による「享保の改革」です。幕府の財政を立て直すために積極的に新田開発を行ったのでしたね。財政基盤である石高を増大させるためです。見沼にあった「ため井」(ため池よりも浅い、農業用水をためておくところ)が干拓され、新たに田んぼが誕生しました。そして代わりとなる農業用水の確保のために引かれたのが、利根川を取水口とする約60kmにわたる見沼代用水でした。「見沼の代わりとなる用水」という意味です。現在でも地図帳で確認できる、大きなかんがい施設になります。世界かんがい施設遺産にも登録されていますよ。日本では他にも、福島県の安積疎水、愛知県の明治用水、香川県の満濃池、熊本県の通潤用水など多くの施設が登録されています。国際かんがい排水委員会(ICID)によって、「建設から100年以上経過し、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたもの等、歴史的・技術的・社会的価値のあるかんがい施設を登録・表彰する」ために創設された制度です。日本では農林水産省が事務局となっていますよ。
岩槻は「人形のまち」として知られていますよね。岩槻の人形づくりの歴史は、日光東照宮と深いかかわりがあります。江戸幕府3代将軍の徳川家光の時代、江戸幕府初代将軍の徳川家康をまつる神社として日光東照宮を造営するにあたって、全国から優れた工匠が集められました。岩槻は、日光御成道の宿場町であったため、この工匠たちの出入りが盛んで、また住み着いた者も多くいたといわれています。そしてその中から人形づくりの技術が広まったと伝えられているのです。だからこそ、日光東照宮で見ることのできる豪華絢爛な装飾品の数々には、「岩槻人形」と同じ技法でできているものがあるというのです。「岩槻人形」は、経済産業大臣から伝統的工芸品に指定され、節句人形生産量日本一を誇る埼玉県に、鴻巣市などと共に貢献しています。
さて「ケアラー支援条例」です。「ケアラー」という言葉にはまだ法律上の定義はありませんが、一般的には、高齢・障害・疾病等により援助を必要とする家族・友人等の身近な人に、無償で介護・看護・世話等を行っている人を「ケアラー」と呼んでいます。その中で18歳未満のケアラーは特に「ヤングケアラー」と呼ばれています。
ケアラーには、身体的にも精神的にも経済的にも、大きな負担がかかっています。離職せざるをえなかったり、社会から孤立してしまったり、場合によっては心身の不調等から重大な事件につながるようなことさえあります。さらに、ヤングケアラーにとっては、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、自身の学校生活や社会生活に深刻な影響を及ぼすこともあります。これまで、行政からの支援の対象といえば、「ケアを受ける立場の人たち」についてでしたが、「ケアラー」=「ケアをする立場の人たち」が抱える問題についても目を向けて支援していくことが、今まさに求められているのです。そうした背景から、昨年の7月1日に施行されたのが、さいたま市の「ケアラー支援条例」なのです。
「日常生活において支援を必要としている人の周りには、それらの人を支える多くのケアラーの存在があり、それは決して特別な存在ではない」という文言ではじまるこの条例では、「誰一人取り残すことなく、ケアラーを社会全体で支えていく必要がある」ということをうったえ、「一人ひとりのケアラーが自分らしく、健康で文化的な生活を営むことができる地域社会の実現を目指」すことがうたわれています。また同じ埼玉県の入間市では「ヤングケアラー」の支援に特化した条例が、同じく7月1日に施行されていますよ。学校生活や進路などに支障が出ないよう、ヤングケアラーを早期に発見し、社会全体で支える環境を整備することを目的としています。
今回紹介するのは埼玉県さいたま市で制定された条例です。さいたま市は人口130万人をこえる政令指定都市になります。埼玉県の南東部に位置しており、東京都心から 20~40km 圏にすっぽりと収まっているかたちです。現在20ある政令指定都市の中では、唯一内陸県(海に面していない県)にあります。ちなみに政令指定都市20市の市長によって構成されているのが「指定都市市長会」です。大都市に共通する課題についての話し合いが行われていますよ。最近の「大都市制度実現プロジェクト会議」では、これまでの「特別自治市」という呼称があまり広まっていないことを理由に、新たに「特別市」という通称名を使って情報発信に努めようという決定がなされましたよ。さて政令指定都市であるさいたま市は、行政単位として市の中に区を持つことができます。行政区と呼ばれ、さいたま市には10区あります。桜区・浦和区・南区・緑区・西区・北区・大宮区・見沼区・中央区・岩槻区ですね。このうち「固有名詞」で成立している区について確認してみましょう。すなわち浦和区・大宮区・見沼区・岩槻区の4つになります。
浦和は埼玉県の県庁所在地でもあり、古くから中山道の宿場町として繁栄してきました。中山道は日本橋を起点に、板橋宿・蕨宿・浦和宿と続きますからね。浦和は三番目の宿場なのです。では四番目は?大宮宿になりますよ!
大宮は、東北・北海道新幹線の「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」「はやて」、山形新幹線の「つばさ」、秋田新幹線の「こまち」、上越新幹線の「とき」「たにがわ」、北陸新幹線の「かがやき」「はくたか」「あさま」「つるぎ」と、5つの路線の新幹線12種が走るという鉄道の結節点であり、東北・上信越方面から首都圏への玄関口になっていますよね。
見沼という地名は江戸時代の歴史に登場しますよ。「米将軍」と呼ばれた江戸幕府8代将軍の徳川吉宗による「享保の改革」です。幕府の財政を立て直すために積極的に新田開発を行ったのでしたね。財政基盤である石高を増大させるためです。見沼にあった「ため井」(ため池よりも浅い、農業用水をためておくところ)が干拓され、新たに田んぼが誕生しました。そして代わりとなる農業用水の確保のために引かれたのが、利根川を取水口とする約60kmにわたる見沼代用水でした。「見沼の代わりとなる用水」という意味です。現在でも地図帳で確認できる、大きなかんがい施設になります。世界かんがい施設遺産にも登録されていますよ。日本では他にも、福島県の安積疎水、愛知県の明治用水、香川県の満濃池、熊本県の通潤用水など多くの施設が登録されています。国際かんがい排水委員会(ICID)によって、「建設から100年以上経過し、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたもの等、歴史的・技術的・社会的価値のあるかんがい施設を登録・表彰する」ために創設された制度です。日本では農林水産省が事務局となっていますよ。
岩槻は「人形のまち」として知られていますよね。岩槻の人形づくりの歴史は、日光東照宮と深いかかわりがあります。江戸幕府3代将軍の徳川家光の時代、江戸幕府初代将軍の徳川家康をまつる神社として日光東照宮を造営するにあたって、全国から優れた工匠が集められました。岩槻は、日光御成道の宿場町であったため、この工匠たちの出入りが盛んで、また住み着いた者も多くいたといわれています。そしてその中から人形づくりの技術が広まったと伝えられているのです。だからこそ、日光東照宮で見ることのできる豪華絢爛な装飾品の数々には、「岩槻人形」と同じ技法でできているものがあるというのです。「岩槻人形」は、経済産業大臣から伝統的工芸品に指定され、節句人形生産量日本一を誇る埼玉県に、鴻巣市などと共に貢献しています。
さて「ケアラー支援条例」です。「ケアラー」という言葉にはまだ法律上の定義はありませんが、一般的には、高齢・障害・疾病等により援助を必要とする家族・友人等の身近な人に、無償で介護・看護・世話等を行っている人を「ケアラー」と呼んでいます。その中で18歳未満のケアラーは特に「ヤングケアラー」と呼ばれています。
ケアラーには、身体的にも精神的にも経済的にも、大きな負担がかかっています。離職せざるをえなかったり、社会から孤立してしまったり、場合によっては心身の不調等から重大な事件につながるようなことさえあります。さらに、ヤングケアラーにとっては、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、自身の学校生活や社会生活に深刻な影響を及ぼすこともあります。これまで、行政からの支援の対象といえば、「ケアを受ける立場の人たち」についてでしたが、「ケアラー」=「ケアをする立場の人たち」が抱える問題についても目を向けて支援していくことが、今まさに求められているのです。そうした背景から、昨年の7月1日に施行されたのが、さいたま市の「ケアラー支援条例」なのです。
「日常生活において支援を必要としている人の周りには、それらの人を支える多くのケアラーの存在があり、それは決して特別な存在ではない」という文言ではじまるこの条例では、「誰一人取り残すことなく、ケアラーを社会全体で支えていく必要がある」ということをうったえ、「一人ひとりのケアラーが自分らしく、健康で文化的な生活を営むことができる地域社会の実現を目指」すことがうたわれています。また同じ埼玉県の入間市では「ヤングケアラー」の支援に特化した条例が、同じく7月1日に施行されていますよ。学校生活や進路などに支障が出ないよう、ヤングケアラーを早期に発見し、社会全体で支える環境を整備することを目的としています。
| Home |