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 鹿児島県鹿児島市「マグマ温泉条例」

 今回紹介するのは鹿児島県鹿児島市で制定された条例です。鹿児島市は九州の南端部近く、福岡市から南へ約280km、熊本市から南へ約180kmの場所に位置しています。福岡市の博多駅を出て、熊本市の熊本駅を通り、鹿児島市の鹿児島中央駅に至る、九州新幹線の路線をイメージしてくださいね。(ちなみに昨年9月に開業したのは長崎を走る「西九州新幹線」ですよ。)鹿児島県内の薩摩半島の北東部および桜島全域を市域としている鹿児島市は、日本百景の一つである鹿児島湾(錦江湾)を有し、湾内には活火山である桜島を擁しています。年間約1000万人(コロナ前の令和1年)の観光客が訪れる観光都市でもあるのです。鹿児島湾西岸の市街地から桜島を望む景観が、イタリアのナポリからヴェスヴィオ火山を望む風景に似ていることから、「東洋のナポリ」と称されていますよ。実際、鹿児島市とナポリ市は姉妹都市盟約の宣言も行っているのです。
 ところでこの「東洋の○○」という表現ですが、社会の勉強をしていると、しばしば目にしますよね。少し確認してみましょうか!
 まず「東洋のマンチェスター」といえば、どこでしょうか?マンチェスターというのは、産業革命によって発展を遂げたイギリスを代表する商工業都市です。サッカーの強豪クラブチームがあることでも有名ですよね。そのマンチェスターに比肩する大都市として、明治・大正・昭和にわたり、紡績や造船など大規模な工場が建設され、人口も大正末期には東京を抜いて日本最大となったこともある、大阪のことをそう呼ぶのでしたね。「天下の台所」から「東洋のマンチェスター」へ、というのが大阪のキャッチフレーズになります。
 では「東洋のルソー」と呼ばれた人物はご存知でしょうか?ルソーというのは、フランス革命の精神的な支柱ともなり、その後の民主政治に大きな影響を与えた思想家です。『社会契約論』を著した政治哲学者でもあります。この『社会契約論』を翻訳し、日本にルソーを紹介したのが、自由民権運動の理論的指導者とも言える「東洋のルソー」中江兆民なのです。1881年には西園寺公望と共に「東洋自由新聞」を創刊し、民権思想の普及に筆を振るいました。1890年に実施された第1回衆議院議員総選挙における当選者の一人でもありますよ。
 さて「東洋のガラパゴス」と称されているのは、どこでしょうか?ガラパゴス諸島は赤道直下の太平洋上に浮かぶ大小の島々からなる火山群島です。エクアドル本土から約1000km西に離れ、ガラパゴスゾウガメなど独特な進化を遂げた固有種が多いことで有名です。同じように、東京から南へ約1000km離れた場所に30余りの島々が浮かぶのが小笠原諸島ですよね。大陸とつながったことのない海洋諸島であることから、独自の生態系を形作っていて「東洋のガラパゴス」と呼ばれているのです。世界自然遺産にも登録されましたね。
 他にも「東洋の○○」は多々あるのですが…、誌面の都合上今回はここまでとします。皆さんもぜひ調べてみてください!
 さてさて、鹿児島市についてでした。百万石の「一番大名」である加賀藩の前田家に次いで、「天下第二の雄藩」と呼ばれた薩摩藩の島津家の城下町として栄えてきました。薩摩藩といえば、鎖国下の江戸時代においても「四つの窓口」の一つとして、琉球王国との貿易を行い、世界の情報も手に入れていましたよ。「四つの窓口」とは「長崎・対馬・薩摩・松前」ですよね。それぞれの交易先は「オランダと清・朝鮮・琉球・アイヌ」になりますよ。江戸時代以前から鹿児島では、大陸や南洋諸島に近いという地理的条件から、琉球を中継地とした貿易が活発に行われていました。大陸文化やヨーロッパ文化の門戸になっていたのです。だからこそ、1549年にフランシスコ・ザビエルが、ここに上陸し、日本初のキリスト教伝来の地となったのですよ。
 市域の中心部から直線距離にして約4kmに位置する桜島は、現在も活発な火山活動を続けていて、鹿児島のニュースでは降灰予報が流されています。活火山を抱えながら、これだけの人口規模を有する都市は世界的にも稀だと言えます。首相官邸のホームページには「現在、我が国には111の活火山があり、世界でも有数の火山国で、桜島等の複数の火山で噴火が発生しています」という記述があるほどです。ちなみに活火山の数が一番多い都道府県は東京都で、21を数えます(伊豆・小笠原諸島にありますよ)。桜島の噴火による大量の降灰や噴石による被害を契機に制定されたのが「活動火山対策特別措置法」(略称は「活火山法」です)になります。近年の御嶽山噴火を受けて法改正がなされ、「登山者」についての規定が定められたことは記憶に新しいところです。
 そんな桜島と結びつきの強い鹿児島市で制定されたのが「鹿児島市桜島マグマ温泉条例」です。ネーミングのインパクトはすごいですが、市民の健康と福祉を増進するために設置された「公の施設」についての条例です。「公の施設」というのは地方自治法に規定があり、図書館や体育館や公園など一般住民の利用を念頭においた施設のことです。市庁舎などは「公共施設」ではありますが、「公の施設」ではないことに注意して下さいね。「桜島マグマ温泉」は住民のための温泉施設です。そしてその管理を「指定管理者」に行わせるために制定されたのが、この条例です。指定管理者制度といって、公の施設をノウハウのある民間事業者等に管理してもらう制度になります。地方自治法に「公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない」とあることから、鹿児島市が条例提案したのですよ。
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